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2021.05.19 119「遊技障害のおそれのある人」と臨床例等との乖離と予防について、その④

前回のコラムの続きです。

1)債務整理体験のないおよそ1,000万人のプレイヤーでのPPDS得点推測式

PPDS得点=51-6.5×(自由時間だけする)-2.2×(上限に達したら控える)+1.3×(月の負け額:万円)+0.1×(借金額:万円)

「ギャンブリングによる借金額」および「月の平均負け額」は万円単位で代入し、「上限に達したら遊技を控える」 「自由時間以外遊技をしない」は「いつも」を2点、「ときどき」を1点、「そうでない」を0点とします。
すると、いつも自由時間だけで遊技をしていたら、6.5×2点=13点が基礎点51点から引かれ、計算上、ほぼ遊技障害のおそれは生じません。

ホール等では「自由に遊べる時間で遊びましょう」という呼びかけを、いかにプレイヤーに届けるかが最も優先すべき課題であり、 遊技量(使用額、頻度、時間)の制限以上に大事な課題であることが示唆されます。

未発表ではありますが、会員カードデータで遊技量をほぼ把握した研究でも、遊技頻度、時間、負け額の遊技障害のおそれへの 寄与は大きくはなく、健全な遊技を行っているかどうかの影響が圧倒的でありました。

さて、「自由に遊べる時間で遊びましょう」が最も大事なメッセージだ、と述べると、「それができないから依存症」「依存症を理解していない」といった意見が出ます。

しかし、それは間違いです。実際、全国調査での遊技障害のおそれがある人々の「自由時間以外遊技をしない」の中央値は「いつも」です。

反対意見がとらえるような強迫的レベルの遊技障害のおそれのある人々は、全国調査での遊技障害のおそれのある人々の平均像とはかけ離れています。

世界的に見ても、Inability to Stop gambling(ギャンブリング行動を自分で止めることが出来ないという認識)が強いほど再発しやすいことが報告されており (Mallorquí-Bagué N, et al, 2019)、強迫性を想定しないギャンブリング障害のおそれのある人々の方が一般的とみてよいです。


2)債務整理体験のあるおよそ36万人でのPPDS得点推測式

PPDS得点=61-11×(上限に達したら控える)+1.4×(月の負け額:万円)

債務整理体験があると基礎点がすでに61点であり、遊技障害のおそれのリスクは極めて高くなります。
それでも「上限を決め、上限に達したら遊技を控える」ことを「いつも」していれば22点が減じられリスクは低減します。

現在、パチンコホールで導入がすすめられている、遊技額や回数等の上限を設定する自己申告プログラムは、特に債務整理体験のあるプレイヤーに勧めるべき仕組みと考えられます。

しかし、この人数は遊技障害のおそれのある人々の数よりはるかに少ないと推測され、債務整理を体験した人々には遊技をご遠慮願うという選択も考慮すべきでありましょう。

公立諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授


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