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2018.11.22 090「ギャンブル等依存症支援」

 ぱちんこ業界が、依存問題を抱える人の回復を支援する医療機関や回復支援施設への支援を行う必要が
あるのは論を待たない。
 ギャンブル等依存対策の関係閣僚会議とりまとめでは、ぱちんこなどのギャンブリング関連業界や関連
省庁は予防を主とし、治療は厚生労働省が主に行うような区分けを読み取れる。
しかし、ギャンブル障害(ギャンブル等依存)の治療を医療が責任をもって行うことはエビデンスに基づく
適切な医療が遂行されていくために必要ではあるが、顕著に効果を示す治療薬や治療方法がない現状では、
医療が回復支援のすべてを担うことはできない。
これまでも、認知の修正、生活の立て直し、支援等は、民間団体や心理職が担ってきたし、これからも
担っていかざるを得ない。
したがって、ぱちんこ業界もこれまで行ってきた回復支援団体等への支援をさらに拡充して行っていく
べきであろう。

 ギャンブル等の依存問題を抱える人の回復を支援する医療機関や回復支援施設等では、以下のような
支援方法などがとられている。
①勝ちさえすればすべてうまくいく、いずれ勝てる、などの認知のゆがみや、確率事象についての誤信念、
 それに伴う行動などを修正する「認知行動療法」「グループミーティング」
②相談者のリソースを把握し、そのリソースを利用して、行動の動機付けをおこなっていく「動機付け面接」
③底つき体験を通して、ぱちんこの魅力の前では無力であることを認め、周りへの感謝の念を持ち、日々
 やめ続けることをピアグループ等の支えで行っていく、「12ステップを基本とするようなグループ療法」
④知的な問題、コミュニケーション障害、発達障害、うつ、統合失調症、なんらかの弱さ、など生活上の困難
 について、「個別アセスメントを重視した福祉支援的方法」
などである。

 ギャンブリングに関する依存問題への対処は、時代的には③を端緒とし、①②④が発展してきており、
全体としては、断ギャンブリングからハームリダクションへ、人格への介入から生活の向上に役立つリソース
発見主義への流れがあると思われるが、どういった方法が効果的か、だれに対して効果的かなどは、実証的な
積み重ねがあまりない。
 ①②についてはその効果を示すギャンブル障害についての研究がいくつかあり、アルコール使用障害では
②による一回の面接が①と変わらぬ効果を示していたりする。しかし③④に関しては、その有効性の主張は
多々あり、薬物使用障害対策からの類推や、理屈の組み立てでは魅力的で納得できるものの、その効果を
対照群を設けるなどして実験的に示した研究は、ぱちんこ依存関連ではもとより、ギャンブル障害一般でも
ほとんどない。
 その理由の一つは、ギャンブル障害が従来考えられていたように不可逆的で進行的な障害ではなく、
自然回復が4-6割程度見込めるためであろう。とくにぱちんこでは、社安研の調査では、自然回復が8割あり、
うち医療機関への相談など特別なことをしなくての回復が9割に及ぶので、③④などの方法が、この自然回復率
を上回ることはなかなかに困難である。

 しかし、今後、ギャンブル等依存症支援をよりよいものへ、より実効性の高いものにしていくためには、
それぞれの支援の効果の検証や、ギャンブル等依存症の人の予後についての研究が不可欠である。
そこで、ぱちんこ業界が、依存問題を抱える人の回復を支援する医療機関や回復支援施設への支援を行うに
あたって、ぜひ行うべきは支援とともに予後についての調査である。
 たとえば、各団体等の、精神科医・公認心理士等との連携、主たる支援の具体的な方法・カリキュラム、
アセスメントの方法・そのポイント、予後の調査状況・今後の方針、財務状況等について情報提供を受け、
これらを専門家委員会などで管理研究する。具体的には、のちのデータ解析がしやすいように、必要項目を
盛り込んだ入力フォーマットを開発提供し、各団体等に入力をお願いする。
そして研究支援や直接的な支援を行っていくのである。
 もちろん、これらはすでに業界、各企業、労働団体、個人が行っている、回復支援団体等への寄付等を制限
するものではない。

公立諏訪東京理科大学 篠原菊紀教授


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